クマに森を返そうよ
2013年 03月 22日
沢田俊子 著 汐文社刊
こちらから
「ツキノワグマはどんぐりが大好きな、おとなしくて、やさしい動物です」クマと森と人を守る活動をしている森山さんは、こう語ります。
最近、クマが人里に現れた、というニュースが増えています。
なぜ、森でくらしているはずのクマが、人里に現れ、ときには人間を襲うようなことが起きているのでしょうか。
(「BOOK」データベースより)
南国に住む私の生活圏にはクマが生息しないので、本物は動物園でしかみたことがありません。
人間の勝手で自然が破壊され、否応なく生息地をうばわれる生き物たちのもの言わぬ反乱と悲劇。
綿密な取材と、たくさんの参考資料に基づいて、生き物の気持ちに寄り添いながら、ていねいに書かれています。
日本熊森協会(にほんくまもりきょうかい)のことや、「たろうと花子のファンクラブ」のことも初めて知りました。
「森を残し、全生物と共存しなければ人間は生き残れない」という中学の理科の先生、森山先生の話を聞いて、熊に森を返そうと奮起する生徒たち。
1000人規模の中学校に、16もの「クマ保護団体」が結成されます。
「クマを守れって? そんなのきいたことがないね」と取り合わない行政。
五年後、大学生になったその生徒たちが、本物の保護団体「熊森協会を発足させるのです。
作者は、野生動物を長いスパンでまもりつづけることができるのは、野生動物が殺されることに心を痛めてどうぶつたちの気持ちになれる子供たちや、一般の人たちなのかもしれません、と結んでいます。
私も関心を深くもちたいと思います。
実は私、作者の沢田先生が、「さむがりやさんよっといで」で家の光童話大賞を取られたときからのファンです。
さむがりやさんよっといでは、こごえるように寒い夜、森のどうぶつたちが、おばあさんのうちのこたつに入りに来るお話です。
とても楽しくて、こんなおはなしを書きたいな、とずっと思ってきました。
なんでもかんでもかきまくっていた私に、児童文学にしぼろう、と思うきっかけを作ってくださった心の恩人です。(ご本人はご存知ないので)
ブックトーク下手ですみません。
家の光大賞を取ると、大作家になれる、というジンクスがありますが、それは本当でした。
最近「林業少年」をだされたばかりの堀米薫さんも、家の光大賞に輝いたお方ですもんね(^^)
沢田先生、ありがとうございました。