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ガラスの梨

ガラスの梨
ちいやんの戦争
越水利江子 著
牧野千穂   え
大作、読破しました。
舞台は昭和16年、大阪。ちいやんと愛称で呼ばれた小学3年生の笑生子は、お母やん、お父やん、気丈な姉やん、優しい兄やん、甘えん坊の弟、仔犬のキラとともに、幸せに暮らしていましたが、温かく静かな日常が、戦争の影に侵されて行きます。
捨て犬のキラが家族になる過程に、先ず胸が熱くなり、春男の気持ちに寄り添えます。
食べてしまいたい気持ちをぐっと堪えて、キラに食べ物を残してあげる純粋さは、作中の至る所で、笑生子の優しさと健気さと踏ん張り力に繋がって、その生き方を示唆してくれます。
大切な人との残酷な別れ、耐えがたい哀しみ、焼夷弾に焼かれる大虐殺シーン。淡々と綴られる場面は、だからこその激しい憤りと痛み、また渦中では、記憶もなくすほどの辛い事を体験し、目の当たりにしながら、それを避けて通れない過酷。
ゾッとするほどたくさんの人の亡骸は、丸太に枝がついたようにして転がっているのです。戦火に翻弄される悲運。
やるせないです。
ページをめくりながら、パタンと本を閉じ、息を吸ってからまた捲る、を何度繰り返したことか。思わず目を瞑りたくなることが、数えきれないほど、何度もありました。
作者は、きっと泣きながら、この本を書きあげられたことでしょう。
笑生子の明るさと母思いの優しさに、救われる思いながらも、何度もなきました。
たくさんの大人はもちろん、
たくさんの子どもたちにこの平和な時代だからこそ、読んで欲しいと思いました。